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歯科医院でのパワハラの定義とは?実際の事例や対策も解説!

2023.09.13

歯科医院は、高い専門性と繊細な技術が求められる医療の現場です。

私は歯科衛生士として14年以上現場で働き、その経験を通して様々な人間関係や職場の環境を見てきました。

特に近年、歯科業界内でも大きな問題として取り沙汰されるようになったのが「パワハラ」です。

この記事を通して、パワハラの実態と、その問題を解決するための方法について解説していきます。

パワハラの定義とは?

「パワハラ」とは、Power Harassment(パワーハラスメント)の略で、歯科医院などの職場における上下関係や権力を背景にしたハラスメントを指します。

パワハラは、歯科衛生士や歯科助手、その他のスタッフの心の健康や医院の雰囲気に影響を及ぼすだけでなく、結果的に患者への治療サービスや対応にも悪影響をもたらすことが考えられます。

厚生労働省ではパワハラを、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為と定義しています。

引用・参照:パワーハラスメントの定義について

パワハラの3つの要素

職場の地位・優位性を利用している

歯科医院においては、院長やチームリーダーのような上位の地位にいる者が、その立場を悪用することです。

特に、歯科衛生士や歯科助手などのスタッフが新しい技術や手法を学んでいる段階での過去の失敗を何度も指摘されることや、評価の場で公然と能力を疑われるような発言を受けることは、職場の雰囲気を悪くしたり、チームの連携に悪影響を及ぼしたりします。

業務の適正な範囲を超えた指示・命令である

歯科医院の業務は高度な専門性を要求されるものです。

その中で業務と関係のない私的な要求をされたり、患者の診療スケジュールや治療プランに合理的な根拠なく変更を求められることは、スタッフのモチベーションを低下させる原因となります。

また、不適切な指示や命令は、患者に提供される治療やサービスの質にも影響を及ぼす可能性があります。

相手に著しい精神的苦痛を与え職場環境を害する行為である

歯科医院では、高い集中力や協力が求められる治療を行うため、職場の和や信頼関係が非常に重要です。

その中で、陰湿な嫌がらせや同僚間での無視、あるいは特定のスタッフを排除するような行動は、チーム全体の治療効率の悪化や連携に大きな障害となります。

 

パワハラの6種の型

パワハラは、以下の6種の型に分類されます。以下で詳しく解説していきます。

身体的な攻撃(暴行・傷害)

身体的な攻撃とは、殴る・蹴るなど身体に危害を加える行為のことを言います。

歯科医院では、狭い診療空間で突然殴る、蹴るなどの行為や、治療器具や材料を投げつけるなど、肉体的にスタッフを傷つける行為です。

精神的な攻撃

精神的な攻撃とは、暴言や侮辱などの言葉で行う攻撃のことを指します。

脅しや暴言、侮辱、名誉を棄損する発言などによって、相手に精神的なダメージを与える行為のことで、メールや手紙などで攻撃することもこちらに該当します。

人間関係の切り離し

人間関係の切り離しとは、職場のコミュニティからの仲間外れや無視することを指します。人間関係の切り離しでは、人間関係から、隔離・無視・仲間外れといった手段で対象者を孤立させる行為です。

歯科医院では、情報の共有や連携が非常に重要です。

その中で、特定の歯科衛生士や助手を重要なカンファレンスや治療の打ち合わせから故意に除外する行動は、医院の治療の質や効率に悪影響を及ぼし、精神的なダメージも与えてしまいます。

過大な要求

過大な要求とは、明らかに1人では遂行が不可能な仕事、もしくは長時間労働しない限り完遂できない仕事などをしている行為が「過大な要求」です。業務とはまったく関係ない、私的な仕事を押し付けることなどもこれにあたります。歯科医院での業務は、高度な専門性が求められるもの。その中で、スタッフの技術や経験を考慮せず、不適切な治療や業務を強要することは、患者の安全や満足度に影響を与える恐れがあります。

過小な要求

気に入らない相手に対して、その能力や経験とかけ離れた仕事を命じたり、仕事を与えなかったりする行為は「過小な要求」に該当します。例えば、経験豊富な歯科衛生士に対して、彼らのスキルや経験を十分に活かさない業務のみを割り当てると、そのスタッフの成長や医院の業務効率が損なわれることが考えられます。

個の侵害

個の侵害とは、スタッフや個人のプライバシーを侵害することを指します。

私的なことに過度に立ち入り、「個の侵害」をする行為もパワハラに該当します。

歯科医院のスタッフ間でのプライバシーの尊重は非常に重要です。

治療の合間や休憩時間に、他のスタッフの私的な話題を持ち出し、過度な質問を行ったり、無関係な私的な情報を暴露する行為は、職場の信頼関係を損なうものです。

歯科医院でのパワハラ事例

ここでは、歯科衛生士として勤務経験のある筆者が、実際に経験したパワハラと感じる事例や周囲の歯科関係者からの経験談を事例としてあげていきます。

事例①院長や歯科衛生士の先輩からの精神的な攻撃

・院長から一度したミスを毎日、小言で言われる

・やる気がないと恫喝される

・仕事ができないスタッフは辞めていいからと言われる

・給与を下げるといわれる

・メールやラインで服装や髪型、言葉遣いでダメなところを長文で指摘される

事例②スタッフからの人間関係の切り離し

・スタッフが全員参加しているの食事会に誘われなかった

・同僚に話しかけても無視される

・自分だけスタッフ間の会話に入れてもらえない

事例③実習生に対する肉体的や精神的な攻撃

・アシスタント中に足を蹴られる

・印象材の硬さが好みではなく、投げ捨てられた

・根管充填剤を何も指導されずに3回練和させられたあげく、使用してもらえなかった

 

パワハラと指導の判断基準の違い

パワハラの識別は、各状況や事背景に応じた総合的な判断が不可欠で、単純な基準だけで「これがパワハラだ」と明言することは難しいです。

「指導」と「成長を促す意図のあるフィードバック」との間に、どのような違いがあるのか以下の基準で明確になるかもしれません。

1.行為の合理性

長時間にわたる非難や私生活への不適切な関与など、業務の品質や効率に寄与しない行為は、パワハラと見なされます。

しかし、スキルや経験を考慮し、少し高度なタスクを与える、あるいは能力を見極めて業務の量を調整するといった判断は、合理的な背景があるため、パワハラとは言えません。

明らかな問題が起こった際の適切な叱責も同様に合理的な範囲内にあると考えられます。

2.業務範囲の妥当性

企業や組織内では、各個人に特定の権限や役職が与えられ、それに伴い、部下やチームメンバーへの適切な教育、指示、管理が期待されます。

その行為が業務範囲内でのものであり、かつ合理的な範囲であるならば、たとえ一部の人がそれに不満を抱いても、それはパワハラとは認識されないでしょう。

 

パワハラを予防するための対策

①院内でルールを決める

全スタッフが理解しやすいような行動指針を設定します。

例えば、患者の前でのスタッフ同士の批判や、業務外の私的なことを持ち出しての評価を禁止するなどの具体的なルールを明記することが重要です。

②院内の実態を把握する

歯科医院独自のストレス要因や職場の雰囲気を定期的にチェックするためのアンケート調査やフィードバックの時間を設けます。

例えば、繁忙な治療スケジュールによる過労や、新しい治療方法の導入に関する不安など、特有の問題点を浮き彫りにすることが大切です。

③院長やスタッフの教育

歯科医師、歯科衛生士、受付スタッフなど、職種ごとの役割や責任を明確にし、相互理解を促進する研修を行います。

また、コミュニケーションの技法や、職場でのハラスメントを予防するための教育も実施します。

④周知する

パワハラ防止のポスターやリーフレットを職場内に掲示し、予防策や相談窓口などの情報を常に目に付く場所に置きます。

定期的なミーティングや研修で、パワハラに関する知識の共有や最新の情報のアップデートを図ることも重要です。

まとめ

歯科医院におけるパワハラは、院内の職場環境やチームの連携に悪影響を及ぼし、患者への治療の質にも影響する深刻な問題です。

院長や上司の不適切な指示、不必要な叱責、スタッフ間の人間関係の断絶など、多くのパワハラの事例が存在します。

パワハラを予防するためには、明確なルールの設定、職場の現状把握、継続的な教育、そして情報の周知が欠かせません。

歯科医院や院長自身も、健全な職場環境を追求するための積極的な取り組みが必要となってきます。

普段から円滑なコミュニケーションを取り、スタッフにとって働きやすい環境を整えていきましょう。

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