4月に入ると、多くの医院では新しいスタッフが入職しますが、そこで必須なのが新人教育です。
歯科衛生士は新卒の新人でも、ある程度歯科の知識がある状態で入職しますが、歯科助手はそうではありません。
歯科業界では慢性的な人材不足で歯科医師や歯科衛生士の人材確保が難しいと言われています。
そこで歯科医院歯科助手を採用し、歯科医院の戦力にしていくことが重要です。
今回は新人歯科助手をどう指導すれば戦力となり、活躍してくれるのか?
歯科助手の新人教育を成功させるための秘訣を解説していきます。
新人歯科助手の実情
歯科助手の業務範囲は幅広く、受付、会計、アポイントメント、歯科診療補助など幅広い歯科業務に携わっています。
新人歯科助手は歯科衛生士と異なり、資格がいらないため、歯科業界未経験で入職するケースが多く、歯科用語や歯科の治療内容等などの基礎の部分から教えていく必要があります。
歯科用語や治療内容、そこで必要なアシスト業務などの教える内容は幅広いですが、人材不足の歯科医院では1日でも早く戦力になってもらう必要があります。
とはいっても、新人歯科助手は経験のない素人です。
焦って早く覚えてもらうよりも、段階を経て、戦力となる歯科助手に育てていき、長く働いてもらうことのほうが重要だと言えます。
新人歯科助手に教える際に大事な3つのポイント
新人歯科助手は業界未経験者が多いことを前述しましたが、ここでは知識のない未経験者にわかりやすく教えるためのポイントを3つ紹介していきます。
①歯科の専門用語
歯科の用語は特殊なものが多く、歯科医師や歯科衛生士からしてみると当たり前に使用している用語でも、新人歯科助手からしてみると分からない用語があります。
歯科の専門用語をリスト化し、医院内で多用するものや、検診や初診時に記載する口腔内の略語から覚えてもらい、日々の診療で多用する専門用語に慣れてもらうことから始めていきます。
➁受付業務
歯科の用語をある程度理解したら、医院の舵取りを行う受付業務を覚えてもらいます。
歯科助手の仕事で一番多い業務が受付であり、患者さんが来院して一番初めに接する場所なので、医院の顔となる場所でもあります。
受付の仕事は、患者受付からカルテ出し、会計業務、予約を取ること、患者対応など業務範囲は幅広いです。
また、受付の予約の取り方次第では、医院の診療が効率よく回るかどうかも変わってきます。
受付業務をこなせるようになると、歯科医院の戦力として活躍してもらえます。
③治療の種類、アシスタント業務
歯科助手がアシスタント業務を行えると、歯科医師や歯科衛生士
院内で多く行っている治療をリスト化し、
可能であればマニュアルを作成、
必要な器具や手順、アシスタント方法を明確化しておく
チェックリストの活用がおすすめ
歯科助手の新人教育の質と効率を上げるにはチェックリストの活用がおすすめです。
ここではチェックリストを活用するメリットを3つ挙げてみました。
チェックリストを活用するメリット①目標が明確化しやすい
一つ目のメリットとしては、目標が明確化しやすくなることです。
チェックリストを活用し、歯科助手としてのどこまで出来たら一人前なのか、自分の能力はどのくらいかを把握し、目標設定しゴールが明確になりやすいメリットがあります。
チェックリストを活用するメリット➁進捗状況やスキルの把握がしやすい
二つ目のメリットは、進捗状況やスキルの把握がしやすいことです。
自分が現在どのあたりまで出来ているのか、自分ができないことは何なのかを把握することで、課題を明確にできるメリットもあります。歯科医院によってはチェックリストでどこまでできるか判断し、スキルや仕事の出来具合で給与に反映し、スタッフのモチベーションアップにつなげているケースもあります。
チェックリストを活用するメリット③教え漏れの防止
チェックリストを作成し、担当者が教えるべきことをリスト化することで「教え漏れ」を防げます。また、指導内容も統一してスタッフ間で共有しておくと、担当者が不在でも指導がしやすくなります。
また、新人歯科助手によるメモの取り忘れや、書いた内容が理解できないなどのトラブルもなくなるため、教育期間の短縮にもつながります。
チェックリストの例
受付業務編
- カルテの準備・片付けができる
- 電話の応対ができる
- 受付対応ができる
- 治療後の会計業務ができる
- 治療予約の管理ができる
- カルテの発行ができる
- レセコンでの患者登録ができる
- 保険証の確認や変更ができる
- PCで必要な作業ができる
診療補助編
- 診療に必要な機材準備ができる
- 歯科医師や歯科衛生士のアシスタント業務ができる
- 印象材やセメントの練和ができる
- 石膏を注げる
- レントゲン撮影の準備
- 診療後の片付けができる
- 器具や機材の適切な受け渡しができる
- 必要に応じて治療のカルテ入力ができる
患者対応編
- 診療室へ適切な誘導ができる
- 適切な言葉遣いをしている
- 笑顔で患者さんへの応対ができている
- 問診票の受け渡しができる
- 待合室の患者の状態を把握できる
- 患者さんが心地よい環境づくりができる(温度や湿度など)
- プライバシーへの配慮ができている
新人歯科助手に出す課題のおすすめ3選
チェックリストを活用し、足りないことや勉強不足な部分が判別した際に必要なのは学ぶことです。
足りない部分が分かっても、診療時間内で、日々診療を行いながら、新しい知識を覚えて実行することは容易ではありません。早く仕事を覚えて、戦力となるためには、診療時間外や自宅での勉強や知識のインプットも必要となってきます。私も新人時代に、院長からいくつか課題を出された経験があります。その出された課題の中で、勉強になったものがいくつかあります。ここでは、院長先生から新人歯科助手に出す課題としておすすめのものを3つ紹介していきます。
書籍
おすすめの一つ目は、書籍です。
書籍は、必要な情報を自分のペースで見て、読んで学ぶことができます。歯科助手に関連した書籍や歯科の知識の書籍など、院長の判断で新人歯科助手に必要だと思う内容を選び、課題図書として毎月1冊読んでもらうことがおすすめです。
それを簡単なレポートにまとめてもらうことでどのくらい理解したかを判別することもできます。
動画
おすすめの二つ目は、動画です。
手技の部分は、動画のほうがイメージしやすく言葉で伝えるよりもわかりやすいです。また、わざわざ時間を作らなくとも、通勤や休憩時間などの空き時間にみて活用する方法もあります。
YouTubeで検索するだけでも、歯科助手関連の多くの動画があります。新人歯科助手に習得してもらいたい仕事やアシスタントの動画を院長から提示したり、自分で勉強してきてもらうことも良いでしょう。
セミナー
おすすめの三つ目は、セミナー参加です。
セミナーは、その道のプロの話や技術を実際に聞いて、見て、実際にレクチャーを受けることができる良さがあります。
新人歯科助手が初めに受けることが多いのが、接遇セミナーです。
歯科医院で、患者さんに接する際の言葉遣いや対応を学ぶことができるのでおすすめです。一般の接遇セミナーより、歯科医院向けの接遇セミナーのほうがより患者さんに寄り添った内容を学べます。
まとめ
今回は、歯科助手の新人教育を成功させる秘訣について解説しました。
どんな人を雇うかも重要ですが、新人の時にどんな教育を受けたか、どんな学びをしてきたかによって戦力となるかどうかが決まってきます。
新人歯科助手を教育することは容易ではありません。
しかし、しっかりと段階を経て育てることで長期にわたり歯科医院に貢献し、幅広い業務に貢献してくれることでしょう。歯科助手の新人教育に迷った際は、チェックリストを活用してみてくださいね。